外壁塗装の見積もりをする際に気をつけておきたい5つのポイント

2022.12.22更新

この記事の監修者

逆瀬川 勇造

逆瀬川 勇造

【資格】AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士

外壁塗装の見積もりをする際に気をつけておきたい5つのポイント

「安く、適正価格で外壁塗装をしたい」と考えている大家さんへ相場と見積もり時にチェックしておきたいポイントをご紹介します。

目次

外壁塗装は業者によって費用は変わる

外壁塗装費用の見積もりは、塗料と職人の人件費のほか、足場やシートなどの仮設工事費用、高圧洗浄、クラック処理などの項目に分かれて提示されます。これらの見積もりは依頼する業者によって異なるのが普通です。

例えば、塗料の費用はその仕入れルートや利益率によって異なります。また、人件費は工事日数や拠点から現場への距離によって変わるほか、足場はレンタルすることが多く、どの業者からレンタルするかなどによって費用が変わってきます。外壁塗装の見積もりを取る時は、複数の業者に見積もりを取り、各項目を見比べるとともに、気になる点があれば項目ごとに確認していくようにしましょう。

外壁塗装費用の構成要素

ここでは、外壁塗装費用の構成要素をお伝えします。

材料費

材料費に該当するのは塗料やマスキングの費用などです。特に塗料は見積もりの多くの部分を占め、塗料の素材の違いによって費用が異なります。安いものだと2,000円/m2程度から、高いものだと5,000円程度/m2のものまであります。マスキングは色の異なる外壁部分や、外壁とサッシ部分の境目に施工するもので、専用のテープやシートを使います。マスキングにかかる費用は300~500円/m2程度が相場です。

足場設置費

足場は作業の効率を上げるのに加え、塗装時の職人の安全性を確保することを目的に設置します。足場設置費の目安は700~1,000円/m2で、見積もり全体の中でも比較的大きな割合を占めますが、基本的には必要な費用だと考えておいた方がよいでしょう。

場合によっては、足場設置なしの見積もりを提示してくる業者もありますが、隣地との距離が充分にあり、平屋など簡単に高いところまで手が届く場合を除きおすすめできません。複数の業者に見積もりを取り、ほとんどの業者で足場なしと判断されない限りは、例え費用がかかっても足場を設置してもらうようにしましょう。また、足場設置と同時に、塗料が隣地に飛び散るのを防ぐために飛散防止シートを張りますが、その費用として200~400円/m2程度かかります。

洗浄費

家の外壁は24時間365日外気に触れており、汚れやカビが付着しています。その上から塗装しても見た目にはきれいに仕上げることができますが、そのままでは塗装が剥がれやすい状態なため、場合によっては1年程度で剥がれが起きてしまうケースもあります。そのため、外壁塗装前には高圧洗浄機を使ってしっかり洗浄しなければなりません。高圧洗浄にかかる費用の目安は200円~300円/m2です。

人件費

人件費は高圧洗浄や塗装など各工程にかかるもので、「現場管理費」や「廃材処理費」などと記載されているものもあるものの、基本的には「塗装費」や「高圧洗浄費」の中に含まれているものと考えてよいでしょう。人件費は見積もり全体の概ね25~30%程度に設定されるのが一般的です。

見積もり書に記載されている項目

具体的に見積もり書に記載される項目としては、以下のようなものがあります。

・仮設工事費用(足場/飛散防止シート)

仮設工事費用として、足場と飛散防止シートの費用が記載されています。足場の単価相場は700~1,000円/m2、飛散防止シートの単価相場は200~400円/m2です。

・高圧洗浄

高圧洗浄に必要な費用が記載されています。高圧洗浄費の単価相場は200~300円/m2です。外壁塗装と同時に屋根塗装も行う場合には分けて記載されるものもあります。

・外壁塗装

外壁塗装費用が記載されています。外壁塗装は一般的に3回塗りですが、見積もりには塗装する回数と塗料が記載されています。

・軒天/破風板/雨樋

外壁塗装と同時に軒天や破風板、雨樋を塗装する際の費用が記載されます。素材や塗料によっても異なりますが、おおよその相場は以下のようになっています。

・軒天…1,000円~1,500円/m2程
・破風板…800円~1,000円/m2程
・雨樋…400円~700円/m2程

・クラック処理

外壁にクラックが見られる場合、その処理費用が記載されます。クラックの程度によって金額が異なります。クラックが軽度(概ね0.3mm以下)であれば200円/m2程、0.3円/m2以上であれば2,000円/m2程が相場です。

・現場管理費/廃材処理費

記載のない場合もありますが、人件費や廃材撤去のためのトラックの手配費用などが記載されます。

見積もり書でチェックしておきたいポイント5つ

見積もり書に記載されている項目についてお伝えしましたが、その上で、ここでは見積もり書の提示を受けた時にチェックしておきたいポイントとして、以下の5つをお伝えします。

・項目は細かく記載されている?
・塗装の回数が何回になっている?
・商品名が記載されている?
・記載されている面積は適切か?
・大幅値引きの提示にはご注意

それぞれ詳しく見ていきましょう。

項目が細かく記載されている?

見積もり書は先述のように項目ごとに費用が記載されているのが一般的ですが、業者によってはいくつかの項目をまとめて「一式」としているものもあります。例えば、「高圧洗浄」や「外壁塗装」をまとめて「外壁」一式としたり、「足場」や「シート」をまとめて「仮設工事」一式としたりするケースです。

こうした見積もりだと具体的に何にいくら費用がかかっているのか分かりません。業者によっては、不当に利益を乗せるために、そのことが分からないように一式としていることもあるため、注意が必要です。仮にそうでなくとも、他の業者と比較をするため、見積もりは項目ごとに提示してもらうようにしましょう。

塗装の回数が何回になっている?

外壁塗装は一般的に下塗りと中塗り、上塗りの3回塗りとなっています。下塗りは塗料の定着を高めることを目的に、中塗りや上塗りとは異なる塗料を塗布しますが、中塗りと上塗りに関しては、中塗りを上塗り1回目、上塗りを上塗り2回目と呼ぶこともあるように同じ塗料を2回重ねて塗ります。

このため、上塗り2回目を省き、下塗りと上塗りだけの2回塗りで仕上げるケースもあります。しかし、2回塗りより3回塗りの方が、塗膜は厚くなるため、長持ちしやすくなるという特徴があります。どうしても価格を抑えたいという場合に、2回塗りを選択することもあるかと思いますが、業者からの適切な説明もなしに「2回塗り」となっているようなケースには注意が必要です。顧客の無知につけこんで、2回塗り分の塗料で3回塗りに近い費用を請求することがあるからです。

また、塗料の回数を見積もりに書かないケースにも注意が必要です。塗装期間中は、仕事や学校に行っている間に業者が外壁塗装を行うケースが多くなりますが、可能であれば塗装をきちんと3回行っているか明るい時間にチェックするか、それが難しいのであれば、毎日、作業報告書をしっかり受け取るようにしましょう。

商品名が記載されている?

見積もり書には塗料の商品名やメーカー名を記載しますが、これらの記載がない見積もり書にも注意が必要です。

同じシリコンであってもメーカーや商品によってその価格は大きく異なるからです。

(例)
・エスケー化研「クリーンマイルドシリコン」
2,200円/m2
メーカーHP:http://www.sk-kaken.co.jp/products/data/cleansi.htm

・日本ペイント「ファインシリコンフレッシュ」
3,100円/m2
メーカーHP:https://www.nipponpaint.co.jp/biz1/building/products/prd_33.html


もちろん、どの塗料を使うかによって特徴も異なるため、商品名やメーカーについては必ず記載してもらうようにしましょう。

記載されている面積は適切か?

見積もり書のほとんどの項目でm2単価が用いられ、外壁の面積や足場の面積と掛け合わせて費用が算出されます。

建物については、延床面積は建築図書や登記事項証明書に記載があるものの、外壁の面積や足場の面積に関する記載はありません。建物の窓の数などによって増減するため、見積もりの段階で正確な数字は出せませんが、算出された数字が不当に高い面積でないかを確認しましょう。

外壁の面積や足場の面積は、延床面積ごとに概ね以下のようになっていると考えるとよいでしょう。

建物の延床面積外壁面積の相場足場面積の相場
70m2(約21坪)100~107m2145~155m2
80m2(約24坪)107~114m2155~165m2
90m2(約27坪)114~120m2165~175m2
100m2(約30坪)120~130m2175~190m2
120m2(約36坪)130~145m2190~205m2
140m2(約42坪)145~160m2205~220m2
160m2(約48坪)160~175m2220~235m2

大幅値引きの提示にはご注意

業者によっては「今すぐ契約すれば〇〇万円値引きします」などと大幅値引きを提示して契約を迫ってくることがあります。これは、元々の見積もり書にかなり大きく利益を上乗せしているケースがほとんどです。値引き額に喜んで契約をするのではなく、値引き後の金額がスタートといった気持ちで話を聞いておくとよいでしょう。なお、本当に他の業者と比較して安い金額であれば、塗料の種類や塗装の回数をごまかしていないかなどに注意が必要です。

見積もり前に調べておきたいこと

見積もりの提示を受けた際の注意点についてお伝えしましたが、見積もりを取る前の段階で以下の点を調べておくとよいでしょう。

塗料の相場を調べておこう

見積もりの提示を受ける前に、塗料の種類ごとの塗料の相場を調べておくとよいでしょう。塗料の素材ごとの費用の相場は以下の通りです。

塗料の種類単価相場(m2)耐久年数
シリコン2,000~2,500円7~10年
ラジカル制御2,200~2,800円10~13年
フッ素3,500円~4,500円15~20年
遮熱・断熱3,000~4,500円13~15年
光触媒4,200~5,000円20年
無機4,000~5,500円18~25年

塗料の種類にはそれぞれ特徴があるとともに、耐久年数が異なります。最初にある程度の出費があるものの長持ちする素材を選ぶのか、耐久年数は短くとも単価の安い塗料を選ぶのかなど決めておくとよいです。これら塗料の特徴や相場、耐久年数については業者から説明を受けることもできますが、事前に調べておくことで、ただ説明を聞くだけでなく、業者と対等に話ができるようになります。

複数の業者を調べておこう

先述したように、外壁塗装業者の提示する見積もり書は業者によって内容や金額が異なります。内容を見て、塗料の素材や金額が相場と違うことを判断できればよいですが、ふだん外壁塗装になじみのない方にとって簡単に判断することは難しいでしょう。そのため、基本的に外壁塗装の見積もりを取る時は複数の業者に依頼することをおすすめします。インターネットや定期的に投函されるチラシなどで、見積もりをお願いできる業者をピックアップしておくとよいでしょう。

一括見積もりを利用しよう

外壁塗装業者への見積もりは複数の業者に依頼すべきであることをお伝えしましたが、1社1社インターネットやチラシでピックアップするのはなかなか大変です。特に最初はどう見分ければよいのかも分からないでしょう。

そこでおすすめなのが一括見積もりサービスです。一括見積もりサービスを利用すると、一度で複数の業者に見積もりを依頼できるため、時間の短縮に加えて、該当の地域周辺の優良業者を自動で選んでくれます。外壁塗装業者に詳しくない人にとって、非常に大きなメリットがあると言えます。なお、見積もりを依頼すると複数の業者から見積もりの提示を受けることになりますが、その際には事前に調べた塗装の種類の知識を生かして、見積もり書の内容を見極めるようにしましょう。

まとめ

外壁塗装の見積もりの内容や見積もり書を見る時の注意点、事前に調べておきたいことなどについてお伝えしました。外壁塗装の業者の中には、少しでも利益を高くしようと塗料の商品名や何度塗りかを書かずに、不当に高い見積もり書を提示する業者もあります。

見積もりを依頼する際には一括見積もりサービスを利用するなどして必ず複数の業者に依頼すると共に、自分でも外壁塗装に関する事前知識を得ておくようにしましょう。

適正価格で外壁塗装を行うために
外壁塗装の一括見積をしてみませんか?

この記事の監修者

逆瀬川 勇造

逆瀬川 勇造

【資格】AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士

明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。大学在学中に2級FP技能士資格を取得。大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
●また、具体的なご相談事項については、各種の専門家(税理士、司法書士、弁護士等)や関係当局に個別にお問合わせください。