入居者がお部屋を決める決め手とは?
入居者がお部屋を決める決め手にはどんなものがあるのでしょうか?
不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)の2018年版「
不動産情報サイト利用者意識アンケート」調査結果によると、「問い合わせや訪問を行う際に不動産会社を選ぶ時のポイント・気にする点は?またその中で特にポイントとなるものは?」という質問に対する回答で、多かった順に並べると以下のようになっています。なお、同データでは「売買」と「賃貸」それぞれについて質問がなされていますが、ここでは賃貸のデータを取り挙げます。
1位 | 写真の点数が多い | 79.9% |
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2位 | 店舗がアクセスしやすい場所にある | 50.5% |
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3位 | 他にもたくさんの物件を掲載している | 44.8% |
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また、売買では前年6位だった「写真の見栄えがよい」が3位に、賃貸では前年圏外だった「部屋の雰囲気が分かる動画」が5位にランクインするなど、写真や動画に対する注目度が高まっていることが分かります。
物件情報を探す際に希望する設備等
また、同レポート内で「物件情報を探す際に希望する設備等は?」という質問もなされており、その結果は以下の通りです。
1位 | 独立洗面台 | 49.9% |
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2位 | インターネット無料 | 46.8% |
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3位 | 追炊き風呂 | 42.8% |
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上記の他、Wi-Fiや温水洗浄便器、TVモニター付きインターフォン、24時間ゴミ出し可等が挙げられており、入居物件を決める時にこれら設備の有無が入居決定につながることも少なくないようです。
内見は入居を決める絶好の場である
賃貸物件への入居を考えられている方は、まずは、
スマイティをはじめ、インターネットの不動産情報サイトなどで物件情報を確認し、気になった物件について、サイトを通して不動産会社に問い合わせし、不動産会社の担当者が内見に同行します。内見に同行するのは不動産会社の営業マンですが、内見は入居を左右するうえで重要です。内見時にお客様に良い印象を与え、かつ、悪い印象を減らすようにしましょう。
内見対策を疎かにしないことが大切
内見同行を行うのは不動産会社の営業マンで、大家さんは基本的に内見に同行することはありませんが、内見について準備=内見対策しておくことは非常に重要なことです。適切に内見対策を行うために、まずは入居者がどのような点に注目しているのかを見ていきましょう。
入居者が内見時に見ているポイント
入居者が内見時に見るポイントとして、以下の箇所ごとにお伝えしていきます。
水回り編 | キッチン | トイレ | バスルーム |
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室内編 | 玄関 | 居住スペース | 通気性 |
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共用部編 | ゴミ置き場 | 郵便受け | 草が生えていないか |
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水回り編
まず、内見時に水回りが汚いとそれだけで入居が遠のいてしまいます。これでもかというほど、きれいに清掃しておくことが大切です。
キッチン
キッチンについては、きれいに清掃していることはもちろんですが、水圧や水が濁っていないかなどにも注意が必要です。シンク下にある排水管の劣化状況なども、問題があれば取り換えておくとよいでしょう。
トイレ
トイレについても内見前に水を流してみて、水の勢いはあるか、変な臭いはしないかなど確認しておきましょう。また、最近の新築物件ではウォームレットやシャワー付きトイレも増えているので、導入を検討してみてもよいでしょう。
バスルーム
バスルームは水垢やコケのないようしっかり清掃しておくことはもちろん、ここでも一度水を流して排水がしっかり流れるか、臭いはないか、髪の毛は詰まっていないか等に注意します。また、内見時にシャワーの水圧を確認するケースもあります。シャワーヘッドが劣化していないか、ゴミが詰まっていないか、給湯器の容量が不足していないかなどを確認し、必要に応じて設備の取り換え等も検討しましょう。
室内編
玄関
玄関については、お部屋の最初のイメージを決めるため、できるだけ広く見えるよう工夫することが大切です。例えば、何か置いてあるものがあれば、別の場所に動かしておくなどしてみるとよいでしょう。また、玄関を閉じると隙間から光が漏れているのが確認できるケースがありますが、隙間があると外気が入ってきたり、虫が入ってきたりすることにつながります。玄関を調節するだけで直ることもありますが、直らない場合には取り換えも検討しましょう。
居住スペース
居住スペースについてはタバコの臭いやカビの臭いがしないかどうかや、壁紙、天井に汚れやシミがないか等に、十分注意しましょう。
通気性
部屋の作り上、通気性の悪い間取りとなっていないかに着目している内見者の方もいます。通気性の悪い部屋だと、どうしても結露が見られたり、カビが生えやすくなったりして入居してから不便に感じることがあり、過去そうした体験をしている方も少なくないからです。どうしても通気性の悪い部屋については換気扇を設定できないか、簡単に間取りを変更できるのであれば、間取りの変更をできないかなどを検討してみるとよいでしょう。
共用部編
ゴミ置き場
ゴミ置き場については、内見時にゴミが多く残っているようであれば、入居者のマナーが悪いか、または、ちゃんと管理されていない物件なのではないかといった心配が残ります。入居されている方の満足度向上にもつながることなので、時間外のゴミ出し禁止等にしっかり取り組んでもらうようにしましょう。内見対策としては、とりあえずそうした張り紙を張っておくだけでも効果はあるでしょう。
郵便受け
こちらも他の入居者のマナーを見られる部分ですが、郵便受けに取られていない郵便がたくさんあると、入居者の質がよくないと見られ、敬遠されることがあります。逆に、郵便受けにたまった郵便が全くないと高い評価を得られる可能性があります。
とはいえ、郵便物をこちらで撤去するわけにもいかないので、少なくともたまった郵便受け以外のところはしっかり清掃しておくことや、入居者のいない部屋の郵便が貯まっていたらきれいにしておくこと、また郵便受けに関する張り紙をするなどの対策が有効です。
草が生えていないか
共用部に緑地がある場合や、駐車場の一部などで雑草が生えており、手入れされていない状態だと、「管理されていないのでは」と不安を与えますし、単純に目に入って不快感を植え付けてしまう可能性があります。居室と同じく、こうした共用部についてもしっかり清掃しておくことが大切です。
入居者属性によって重視するポイントは変わる
内見前までに対策しておくべきポイントをお伝えしましたが、共通して行うべきことに加え、入居者の属性によって重要視するポイントが変わることもあります。ここでは、特に、以下の3つの属性の人に向けて対策しておくべきポイントをお伝えします。
・女性 |
・防音性にこだわる人 |
・結露に悩まされた経験を持つ人 |
女性
カップルやファミリー、女性向けシングルルームなど、女性を含む内見が考えられるマンションでは、より清掃を念入りにすると共に、特に、水回りについてはしっかり対策しておくようにしましょう。逆に言えば、女性に見せても問題ないレベルで準備や清掃ができているのであれば、他の属性でも問題ないと言えるでしょう。
防音性にこだわる人
音に敏感な人は内見時に建物の防音性について必ずチェックしています。また、そうでない人にとってもあまりに隣の部屋の音が聞こえてくるような部屋には住みたくないでしょう。
防音性のチェック方法
まず、大家さんが自分で自分の建物の防音性をチェックしてみましょう。方法としては、部屋の真ん中で手を叩いてみて、音が返ってくれば防音性が高く、返ってこなければ音が抜けているため防音性が低いと判断できます。防音性は建物の構造や壁の素材によって異なるため、そう簡単に強化するのが難しくはありますが、自分の所有物件の防音性が低い場合には、リフォーム時に防音性の高い窓や壁に換えることを検討してみるとよいでしょう。
なお、防音性にこだわる理由が「楽器を弾きたいから」で、そのために対策をしたいのであれば、それなりの防音設備を整える必要がありますが、音楽大学の近くなど特殊な立地の場合には「防音設備はそこそこでも、住んでいる人が全員納得していればよい」ケースもあります。
結露に悩まされた経験のある人
賃貸物件の中には、冬になるとひどく結露するものがあります。部屋の配置や間取りの都合上、陽が当たらなかったり、通気性が悪かったりする部屋でよく生じますが、ひどい場合だと窓際の床がびしょびしょになり、1日に何回も水気を拭き取らないといけなく、大変ですし、カビの発生により健康を害する可能性もあります。
賃貸物件でこうした経験をされたことのある方は意外と多く、内見時に結露について聞かれることが少なくありません。陽当たりの問題や間取りによる通気性の問題だとどうしようもないこともありますが、窓ガラスをペアガラスにするなどして結露対策できます。
内見の準備のためにできること
ここでは、内見の準備のためにできることについて、以下の項目をお伝えします。
・隅々まで清掃する |
・popを設置する |
・モデルルームを作る |
・入居者向けの情報をチェックする |
隅々まで清掃する
ここまで何度かお伝えしていますが、内見対策として最も基本的なことで、誰にでもできることでありながら、特には入居を決めるかどうかのポイントともなります。業者を使ってハウスクリーニングを行えば、かなりきれいにすることができますが、費用をかけたくないのであれば大家さんが自分で取り組むこともできます。入居者の属性を問わず必要なことなので、まずは徹底的に清掃するようにしましょう。
popを設置する
居室内の間取りのポイントや設備の使い方、収納棚の収納数など、特にお伝えしたいポイントをpopにして設置しておくことで、伝えたいことが明確になるだけでなく見た目にも華やかになります。
popは安価に物件をアピールできる素材として有効活用したいですが、一方で、popを貼りすぎると逆に内見者に不快感を与えてしまうこともあります。どこまですれば不快と感じるかは人によって異なるところですが、自分が入居者のつもりになって室内を見渡してみると共に、ご家族や友人に一度部屋を見てもらい、不快に感じるところがないか聞いてみるとよいでしょう。
モデルルームを作る
空室となっているうちの部屋の1つに家具やカーテンを設置し、モデルルームにするのもオススメです。同じ間取りの空室がいくつかある賃貸物件であれば、その内の1つをモデルルームにするだけで複数の部屋の案内に活用することができます。モデルルームに使う家具やカーテンは自分で揃えてもよいですが、プロに頼むとより良い印象を与えられる可能性が高まるでしょう。
入居者向けの情報をチェックする
本記事のように、大家さん向けの情報だけでなく、入居者向けに公開されているネットや書籍の情報をチェックすると、内見対策の参考になる情報がたくさん得られます。例えば、入居者向けに書かれた「内見前のチェックポイント」といった記事は、実際に入居者が内見前に確認している可能性があり、そのチェックポイントに沿うように対策しておけば、入居者に安心感を与えることができるでしょう。
管理会社にも相談してみよう
内見時の同行だけでなく、退去時の清掃や共用部の清掃などは、管理会社に委託している場合は日頃から管理会社が行っておくべき業務です。特に、たまに足を運ぶと空室となっている部屋や共用部が汚れているような場合には、担当者によく伝えるとともに、何度話しても解決しないようであれば管理会社の変更も視野に入れるとよいでしょう。
まとめ
内見対策や、入居者が内見時に見ているポイントや属性ごとのポイント、内見前の準備などについてお伝えしました。入居者は、賃貸物件への入居を決める際に立地や家賃から物件を絞っているのはもちろんですが、最後には内見時に設備や部屋の雰囲気等を確認して最終判断します。内見への同行は不動産会社の営業マンが行うため、担当の営業マンにしっかり案内してもらうのはもちろんですが、大家さんとしてもできる限りの対策や準備をしておくことが大切だと言えるでしょう。
この記事の監修者
逆瀬川 勇造
【資格】AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士
明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。大学在学中に2級FP技能士資格を取得。大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。
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