ちゃんと理解していますか?アパートローンの基礎知識を徹底解説

監修キムラ ミキ

  • 公開日:
  • 2019年04月03日
  • 更新日:
  • 2019年10月03日
ちゃんと理解していますか?アパートローンの基礎知識を徹底解説
現在、賃貸経営をしている人、または賃貸経営を検討中の人であれば「アパートローン」という言葉を耳にしたことはありますよね。しかし、アパートローンの仕組みや金利など、きちんと理解している人はどのくらいいらっしゃるでしょうか。この記事では、アパートローンを活用してこれからアパート経営を始めようと考えている方や、さらに2軒目、3軒目の賃貸物件を購入または建築を検討している方に、アパートローンの基礎知識や、選ぶ際のポイントをご紹介していきます。

目次

アパートローンってどういうローン?

そもそもアパートローンとは、どんなローンなのでしょうか。一口に賃貸経営と言っても、ワンルームマンション投資や、1棟丸ごと所有するアパートマンション経営など規模はさまざまです。

しかし、賃貸物件の購入、建設を検討する際、必要となるのはその取得資金。規模によって、数千万円から数億円の資金が求められますが、現金で支払いができる人ばかりではありません。アパートローンは、そのように手元資金が不足していても、賃貸経営を始めたいという人に対して金融機関が融資を行ってくれる商品のことを言い、不動産投資ローンやマンションローンとも呼ばれています。

アパートローンでできること

アパートローンは、賃貸経営を目的とした物件の購入および建設の資金に充てることができるほか、賃貸経営用物件のリフォーム資金としても活用することができます。また、賃貸経営をスタートしたあと、借り換え資金として活用することもできます。金融機関によっては土地の購入資金は、アパートローンの融資対象外とされることもあるので注意をしておきましょう。

アパートローンと住宅ローンの違い

賃貸経営の検討を行うにあたり、アパートローンと住宅ローンのどちらを使うかを迷われている方もいるかもしれません。しかし、アパートローンと住宅ローンは、その融資対象や資金使途、金利などが異なるため、その違いについて理解しておくことが必要です。

住宅ローン

住宅ローンは、住宅ローンを契約する本人が居住する目的で土地や住宅を購入したり、住宅の新築・増築・改築を行ったり、底地を買い取ったり、といった資金に充てることができるお金を融資してもらうことができるローン商品です。賃貸経営を目的とした物件は融資対象外ですが、物件の床面積2分の1以上を、住宅ローンの契約者本人が居住目的で使用する場合は、住宅ローンを利用することもできます。

住宅ローンの現在の金利水準は、0.5~1.5%程度です。なお、住宅ローンを利用した場合、住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)の税制優遇を受けることができます。

アパートローン

アパートローンは、先述したように、賃貸経営を目的とした物件の購入および建築の資金、増改築の資金、そして借り換え資金に充てることができるお金を融資してもらうローン商品です。

アパートローンの現在の金利水準は一般的には3~5%程度となっています。

事業性ローン

不動産を担保にして融資を受けられるローンに、不動産担保ローン(事業性ローン)というローン商品もあります。不動産担保ローンとは、不動産を担保に融資を受けられる点では、住宅ローン、アパートローンと似ていますが、大きく違うのはその資金使途が自由な点です。

つまり、不動産を担保にしたフリーローンであり、賃貸物件の購入などに充てることができます。しかし、アパートローンと比較すると融資金額の上限は低く、現状の金利水準も高め(3~10%)に設定されています。

アパートローンの特徴

先述したように、賃貸経営を行う上で、主として活用できるローン商品はアパートローンです。その特徴について、さらに具体的に整理しておきましょう。

自己資金

アパートローンは、自己資金が少なくても融資を受けることができます。賃貸経営は、その文字通り、所有する賃貸物件を活用して「経営」を行います。その経営計画に無理がなく、実現可能性が高いと金融機関が判断をすれば、アパートローンの融資を受けられるのです。

自己資金ゼロで、賃貸物件取得のためのすべての資金をアパートローンで賄うフルローンの場合、スピード感を持って賃貸経営を始めることができますが、返済比率(満室経営の場合に得られる賃料収入に対するアパートローン返済額の割合)が高くなりすぎないように注意をしておかなければなりません。

フルローンとオーバーローン

フルローンという用語に触れたので、合わせてオーバーローンという用語にも触れておきましょう。それぞれの特徴や借入条件などについて説明をします。

アパートローンは、賃貸物件の建物や敷地を担保として、抵当権を設定した上で融資を実行します。もしも、賃貸経営が上手くいかなかった場合に、金融機関が賃貸物件を売却して融資金を回収するためです。そのため、原則として担保評価、つまり物件価値がアパートローンの融資金の上限となります。

フルローン
フルローンとは、賃貸物件の取得資金に充てるお金を、全てアパートローンで借り入れすることです。ただし、アパートローンを契約する際、諸費用が必要になります。その諸費用をアパートローンの融資額に含めることもできますが、先述したように賃貸物件の物件価値を超える金額の融資を受けることはできません。
オーバーローン
オーバーローンとは、賃貸物件の物件価値を超えた金額を借り入れることを言います。アパートローンでは、原則として賃貸物件の物件価値を超える金額の融資を受けることができないため、別途諸費用ローンなどを利用することになります。場合によっては、金融機関向けの書類上、不動産業者が物件価格を水増しすることにより、「アパートローンで諸費用を含めた金額の融資を受けられる」と、甘言を弄する場合もありますが、違法性を問われる場合もあります。

融資期間(返済期間)

融資期間は、建物の耐用年数にもよりますが、1年から35年の中で設定できることが一般的です。ただし、全期間固定金利型の場合など、金利タイプによっては35年よりも短い融資期間で設定することを求められる場合もあります。対応が金融機関によって異なりますので、商品概要を見たり、窓口に問い合わせたりするなどしてあらかじめ確認しておきましょう。

返済原資

住宅ローンの返済原資は、住宅ローン契約者本人の収入となりますが、アパートローンの場合は賃料収入になります。そのため、賃貸物件の物件価値や事業計画の安定性が本人の収入や資産状況よりも重視されることになります。

アパートローンの融資条件や審査基準

アパートローンの融資を受けるには、金融機関の審査を受け、承認を得る必要があります。どのようなポイントが審査されるのか、あらかじめ知識を持っておきましょう。

物件の資産価値はどのくらいか

賃貸物件の建物、土地を担保にしてアパートローンの融資が行われるため、賃貸物件の物件価値がどれくらいかによって融資額が決定されます。仮に家賃収入が十分に見込める賃貸物件だったとしても、資産価値が低いと判断されると希望した金額を下回る融資となる場合もあります。

借入人自身に問題はないか

大家さんが、もしも賃貸経営において空室の発生などにより賃料収入だけでアパートローンの返済ができなかったとしても、賃貸経営以外に収入を得ている場合、その収入でカバーすることが可能です。また、預貯金などの資産がある場合にも同様のことが言えます。そのため大家さんの収入および資産状況や他の借り入れの有無を確認されることになります。

その他にも、反社会的な人物でないか、そして真摯に賃貸経営に向き合う姿勢があるかどうかも金融機関は観察しています。金融機関にアパートローンの相談に行く際には、資料と身だしなみを整えた上で、好印象を与えるように努めましょう。

ローン使用目的が適切か

先述したように、アパートローンは、使用目的が賃貸用不動産の購入・建築・修繕などであることに限られています。それ以外の費用についてはどのような手段(自己資金、諸費用ローンなど)で支払う予定があるかをあらかじめ考えておき、資金計画に無理がないことを理解してもらえるように資料を準備しておきましょう。

不安のない事業計画になっているか

空室が発生するなどの悪条件を想定しても、賃貸経営が継続できる余裕があることは審査において重要なポイントです。金融機関に対して無理のない資金計画であることを納得してもらえるために、楽観的すぎない資金計画を練りましょう。

今後も有益な取引ができそうか

資金計画に無理がなく、将来的に大規模修繕等の資金需要が見込まれたり、賃貸経営を拡大していく可能性もあると判断されたりすれば、金融機関にもさらなるメリットが生まれるので、審査において有利に働くでしょう。修繕計画はもちろんのこと、おおまかな将来展望などを説明できるように資料をまとめておきましょう。

以下の記事では、審査基準について深堀して紹介しています。

今後、融資条件等は厳しくなる可能性がある

一部の金融機関において、アパートローンの不適切融資が行われていたことが明るみに出たことで、今後アパートローンの融資条件や審査基準が厳格化する可能性があります。とはいえ、現在もマイナス金利政策が継続する中、金融機関は健全な融資先を求めています。楽観的すぎる賃貸経営計画ではなく、ゆとりのある賃貸経営計画を練ることは金融機関の理解を得られるだけでなく、大家さん自身が「こんなはずじゃなかった」と後悔することを回避することにもつながります。

確かに、アパートローンを取り巻く環境は厳格化する可能性が高いと言えますが、一部の金融機関でほとんど審査もされず融資が行われてきた異常な事態が是正され、正常化してきたと考える方が適切であると考えます。

まとめ

賃貸経営を検討する中で、アパートローンの概要、審査のポイントなどをあらかじめ知っておくことは、どのような準備を行ったり、計画を立てたりすればよいかを把握することにつながります。賃貸経営は事業です。100%人任せにするのではなく、サポートを受けながら自ら納得できる綿密な事業計画を立てた上でアパートローンを活用して、資産形成を行っていきましょう。
キムラ ミキ

監修キムラ ミキ

【資格】AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー

日本社会事業大学 社会福祉学部にて福祉行政を学ぶ。
大学在学中にAFP(ファイナンシャルプランナー)、社会福祉士を取得。
大学卒業後、アメリカンファミリー保険会社での保険営業を経て、(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わった。
その後、2008年8月より独立し、現在、自社の代表を務める。

※紹介されている情報は、記事公開当時の内容です。法律改正等により内容に変更がある場合もございます。