大家さんならおさえておきたい!インカムゲインとキャピタルゲイン、知っていますか?

監修キムラ ミキ

  • 公開日:
  • 2021年01月25日
  • 更新日:
  • 2021年01月25日
大家さんならおさえておきたい!インカムゲインとキャピタルゲイン、知っていますか?
賃貸経営の勉強を進める中で、「インカムゲイン」、「キャピタルゲイン」という言葉と出会った方もいるでしょう。賃貸経営において、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」を理解しておかなければ、目指す大家さん像をイメージし、出口戦略を考えることは難しいかもしれません。この記事では、賃貸経営を始めて間もない大家さんや、賃貸経営を始めようと検討している方へ、賃貸経営における「インカムゲイン」、「キャピタルゲイン」の意味と出口戦略の考え方についてご説明いたします。

目次

大家さんにとっての収益って何だと思いますか?

大家さんにとっての収益として、一番に思い浮かぶのは家賃収入ですが、実はそれだけではありません。家賃収入のほかにも、礼金や更新料、共益費などがあり、賃貸物件を売却する際の売却益も大家さんの収益となります。大家さんは、未来永劫大家さんであり続けることはできません。将来、賃貸経営に関わることが終わる日が必ず来ます。その時期をいつくらいに設定し、どのような形で終わらせるかによって、必要な準備も異なり、その時までにどれくらい収益を得る必要があるのかにも差が生じるのです

インカムゲイン、キャピタルゲインとは?

賃貸経営における収益は「インカムゲイン」と、「キャピタルゲイン」に分類できます。

賃貸経営におけるインカムゲイン

インカムゲインとは、一般的に資産を保有中に得られる収益のことをいいます。賃貸経営における資産とは、賃貸物件のこと。賃貸物件を保有すると入居者から、毎月家賃収入(家賃、共益費)が得られます。また契約時の初期費用として、礼金の設定をしている場合は、礼金もインカムゲインとなります。なお、敷金は収益ではなく預り金のため、インカムゲインではありません。さらに、入居者が契約更新を行う際に更新料を設定している場合、更新料もインカムゲインに含まれます。

賃貸経営におけるキャピタルゲイン

キャピタルゲインとは、保有している資産の売却によって得られる売却益をいいます。賃貸経営においては、賃貸物件を売却して得られる収益がキャピタルゲインとなります。

インカムゲインのメリット・デメリット

賃貸経営におけるインカムゲインを得る場合のメリット・デメリットについてご説明いたします。

メリット

賃貸経営におけるインカムゲインを得るメリットとして一番に挙げられるのは、入居者がいれば「定期的な収入を得られる」という点です。礼金は入居の際、1回限りの収入ですが、家賃や共益費であれば毎月、また更新料であれば契約期間ごとに収入を得られるのです。定期的な収入が得られると、経営の見通しも立てやすくなります

デメリット

賃貸経営におけるインカムゲインを得るデメリットはとくにありません。ただし、義務や努力が生じるという点がデメリットと感じる方もいるでしょう。家賃収入などのインカムゲインは、不動産所得に該当するため、必要経費を差し引いた利益に所得税と住民税が課税されます。その納税額を確定するために、毎年確定申告が必要となります。確定申告をするためには、帳簿付けを行ったり、経費コントロールを行ったり、納税資金などを確保するためにキャッシュフロー管理を行うといった手間を要します。

確定申告のほかにも、入居者がいなければ賃貸経営におけるインカムゲインを得られないため、満室経営のための努力も必要です。空室が発生しないように入居者満足の向上に努めるなど、空室発生の際に速やかに入居者決定ができるよう管理会社との連携を図る、という日々の努力なしに安定的にインカムゲインを得ることはできないと心得ておきましょう。

キャピタルゲインのメリット・デメリット

賃貸経営におけるインカムゲインを得る場合のメリット・デメリットについてご説明いたします。

メリット

キャピタルゲインのメリットは、一時的にまとまった収益を得られることが挙げられます。一時的にまとまった収益を得ることで、アパートローン残債の清算に充てられます。アパートローンがすでに終了している場合には、セカンドライフ資金などにも充当できるでしょう。

デメリット

一方で、キャピタルゲインにはデメリットもあります。一時的にまとまった収益を得るためには、景気の動きを把握したり、購入したいと思ってもらえる利回りのよい物件に育てたりする必要があります。築年数やエリアによっても異なりますが、売却時期の見極めを誤ると、キャピタルロス(売却損)、つまり購入金額よりも売却金額が下回ってしまう状態が生じる可能性にも留意しておきましょう。

なお、キャピタルゲインは譲渡所得となり、所得税と住民税が課税されます。譲渡所得は、原則として譲渡価額(売却価格)から、取得費(購入金額など)と譲渡費用(売却に関する諸費用)を差し引いて求め、その譲渡所得に税率を乗じて、税額を算出します。税率は、賃貸物件の保有期間が5年以内(所得税+住民税=39%)か5年超(所得税+住民税=20%)かによって異なるため、売却時期によっては思わぬ納税負担が生じる可能性もあります

大家さんとして目指す方向=出口戦略は決めていますか?

「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」は、どちらも一長一短です。どっちが良いかではなく、大家さんとしてどのような方向性を目指していくのか、つまり出口戦略を考えていくことが大切です。

出口戦略が必要な理由

賃貸経営を行う際、なぜ出口戦略が必要なのでしょうか。その答えは単純明快です。大家さんが、賃貸経営をみずから行うことができなくなる時期が必ずくるからです。大家さんは、いつまでも生き続けられませんし、判断能力が衰える時期がくるかもしれません。その時に、賃貸経営を誰かにバトンタッチするのか、売却または解体をするのか、どの選択をするかによって準備方法も資金計画も異なってきます。

たとえば、すでに相続をしようと決めている物件(アパートローン残債あり)を所有しているとしましょう。相続予定ですから、第三者に売却はできないため「キャピタルゲイン」をもってアパートローン残債の清算をすることはできません。ただ、相続が発生するまでの間「インカムゲイン」を得ることはできます。その「インカムゲイン」を少しずつ積み立てて、アパートローンの繰り上げ返済原資、修繕費原資を作ることもできるでしょう

また、アパートローン残債のある状態で相続をするのか、自己資金などでアパートローンを完済してから相続するのかを検討する必要もあります。ほかにも、相続時前に大家さんの判断能力が衰えた時、管理を相続人にまかせるために、家族信託契約を締結しておくか否かの検討も必要でしょう。どの選択をするかによって相続人の負担や資金計画が異なります

この例1つとっても、検討すべき課題はたくさんあります。そして、その選択によっては一朝一夕に準備できるものとは限りません。そのため、あらかじめ出口戦略を考えて、早め早めに準備を行うのが望ましいのです

相続をする場合

出口戦略として相続を想定する場合、相続をする方にとって負の資産と思われないように物件磨き(入居者満足を高め、満室経営となっている物件にするように努めること)を行う必要があります。また、賃貸物件の継承のみならず、賃貸経営を行う上での知識や工夫について、少しずつ継承していくことも大切な視点です。

相続をしない場合

出口戦略として、相続以外の方法を想定するケースもあるでしょう。売却であれば購入したいと思われるように、相続の時と同様で物件磨きが必要です。また、売却の場合、利回りを意識した賃貸経営を行う姿勢も大切です。そのうえで、売却のタイミングを見極めるために経済の動向についてはアンテナを張っておくように心がけましょう。なお、築古物件の場合、解体という出口戦略もあると思いますが、解体費用がどれくらいかかるかの目安を知り、資金準備を早めにスタートさせるのが望ましいでしょう。

まとめ

賃貸経営をスタートするとき、安定的な家賃収入などのインカムゲインに魅力を感じる方も多いでしょう。しかし、繰り返しになりますが、大家さんみずからインカムゲインを得続けることはできません。理想をいえば、賃貸経営を始める前に、将来みずから行う賃貸経営をどのような手段で終わらせるのか、出口戦略を考えておきたいものです。

しかし、賃貸経営をスタートしてからでも、出口戦略の検討は遅くはありません。さまざまな選択肢のメリット・デメリットを整理し、専門家のアドバイスも参考にしながら、大家さんとして目指す方向性を早め早めに決定し、必要な準備を進めていく姿勢が大切です。
キムラ ミキ

監修キムラ ミキ

【資格】AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー

日本社会事業大学 社会福祉学部にて福祉行政を学ぶ。
大学在学中にAFP(ファイナンシャルプランナー)、社会福祉士を取得。
大学卒業後、アメリカンファミリー保険会社での保険営業を経て、(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わった。
その後、2008年8月より独立し、現在、自社の代表を務める。

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