賃貸経営の収支計画とは?健全な賃貸経営を営み続けるために知っておきたいこと

監修逆瀬川 勇造

  • 公開日:
  • 2020年07月29日
  • 更新日:
  • 2020年07月29日
賃貸経営の収支計画とは?健全な賃貸経営を営み続けるために知っておきたいこと
相続した賃貸用物件の現状と今後を見渡すためにも、しっかりと立てておきたいのが「収支計画」。当記事では、賃貸物件を相続したばかり、あるいは相続予定の初心者大家さんに向けて、収支計画とは何かをお伝えすることから、収支計画書を作成するうえで留意しておきたい点まで詳しくご説明いたします。

目次

賃貸経営の「収支計画」とは

賃貸経営に取り組むことで最終的にどの程度の利益が得られるかなどを実際の物件の数値を使い、シミュレーションし立案した計画を、賃貸経営の収支計画と呼びます。主に家賃収入がいくら入って、修繕や管理費などの経費やローン返済費用がどのくらいかかり、残った利益に対して税金はどのくらいかかるのかといったことを計算し、算出します。

ここでは、とくに賃貸物件を相続した、あるいは相続予定の方がどのように収支計画を立てればよいのか見ていきたいと思います。

いつ

通常、不動産投資であれば物件購入前に収支計画を立てるものですが、相続の場合は相続が決まった時点で収支計画を立ててみましょう。

相続が決まった段階における収支計画の計算を行った結果、赤字になりそうなのであれば売却も検討するなど、実際に相続し賃貸経営を継続するかどうかの判断材料にするとよいでしょう。また、実際に相続するなどして賃貸経営を始めた後は一度試算して終わりではなく、定期的に計画を見直すことが大切です。

その際は1年間の収支実績を確認し、計画とどのような相違があるのか、なぜ収支計画より高く(あるいは安く)なったのかを検証し、必要に応じて計画を立て直すようにします。なお、年度ごとの計画とするのは、税金を含めて全体的に判断するべきだからです。

だれが

収支計画については、まずは本記事を参考に自分で計算してみましょう。

収支計画を立てるうえで必要なシミュレーションツールは、不動産会社の担当者に相談してアドバイスを仰いだり、webサイト上で無料で公開されているものやアプリとして公開されているものを利用したりするといいでしょう。そのうえで、完成した収支計画書をもとに不動産会社や金融機関の担当者、税理士など専門家にアドバイスを受けてブラッシュアップしていきます。

賃貸経営に慣れてきたら、最初から専門家に任せるのでもよいですが、いざというときに自分で判断できるようにするためにも、まずは自分で収支計画を立てる習慣をつけることをおすすめします。

基本的な収支計画

ここでは、改めて収支計画の基本的な考え方を見ていきます。

基本的な収支計画の項目

ここでは、収支計画に必要な項目とその理由を解説します。

〇築年数と建物構造・購入価格
築年数と建物構造、購入価格については、税金を計算する際に減価償却費を求めるのに利用します。
不動産投資においては、減価償却をいくら計上できるかで、支払う税金に大きな差が出るため、重要な項目となります。

〇月額賃料収入
毎月の賃料収入です。
収支計画を立てる際には、満室時だけでなく、現況を反映した賃料でも試算をすることをおすすめします。

〇諸経費と改築費・管理手数料・月額固定費・固定資産税
賃貸経営する上でかかる経費全般です。
過去数年間の収支結果のデータがあるのであれば、それらをもとにできるだけ精度の高い数値を算出できるようにしましょう。

〇借入内容
収支計画を立てる際には毎月の返済額がいくらかも重要になります。
借入額はいくらか、金利は何%か、借入期間は何年かによって毎月の返済額が変わるため、確認しておきましょう。

収支計画を立てるうえで留意したい点

収支計画を立てる上で意識しておきたいのが「収入は控えめに、支出は多めに」計上しておくこと、そして自身で計画を立てる際はもちろん、不動産会社等に依頼する場合にも項目の抜け漏れや金額設定等におかしな点がないかチェックするということです。

以下、各項目の留意点について見ていきましょう。

家賃関連の留意点

上述したように、収支計画を立てる際、家賃については満室時のものではなく、現況に沿った数値を入力するようにしましょう。仮に「数カ月後は満室になる予定」だったとしても、「収入はできるだけ控えめに」という原則に従い、できるだけ厳しく試算することをおすすめします。

家賃設定・家賃下落率設定

先述の通り、基本的に築年数が経つごとに空室が多くなり、賃料を安くしないといけないため、「毎年3%ずつ減らしていく」など厳しめに見積るのもひとつの方法です。

家賃下落率を何%に設定するかについては、近隣の類似物件で、築年数の古い物件の家賃設定を参考に算出するとよいでしょう。また、当初の家賃設定について、「築年数が経っており、実際には家賃を下げなければならないのに、高い家賃のまま」という物件がある場合、「実際の相場で家賃を引きなおす」ことも必要です。

家賃滞納リスク

入居者が家賃を滞納してしまうと、その期間収入がなくなってしまいます。このことを見越して、「家賃の5%を家賃滞納リスクとして差し引く」などとするのも一案です。

入居率・空室率設定

入居率・空室率については過去の運営状況を見ながら、やや厳しめの数値を算出するようにします。また、将来の数値については少しずつ空室率が増加していくことを見越しておいたほうが安全です。場合によっては空室率の増加率を設定してみるのもよいでしょう。

修繕費用の留意点 大規模修繕、臨時修繕

修繕費については、毎年必要な修繕費に加え、定期的に必要となる大規模修繕や、突発的な臨時修繕について留意する必要があります。

臨時修繕については、過去の運営状況を見て、どの程度の頻度で修繕が発生しているかを参考にするとよいでしょう。

また、大規模修繕については以下のようなものがあり、ある程度想定することができます。

・屋根/外壁工事:10~20年
・防水加工:10~15年
・給排水設備:15年
・ガス/電気設備:6~15年
・エアコン交換:7~10年

前回の修繕をいつ行っているのか、次の修繕はいつ必要になるのかなどを計画に盛り込むとよいでしょう。

まとめ

賃貸経営の収支計画についてお伝えしました。

賃貸経営では長期的な視点に立って収支計画を立てることが大切ですが、その際には、記事内でお伝えしたとおり「収入は控えめに、経費は多めに」計上することを意識することをおすすめします。賃貸物件を相続したばかりの方、または将来相続する可能性のある方は、本記事を参考にまずは収支計画を立ててみることをおすすめします。
逆瀬川 勇造

監修逆瀬川 勇造

【資格】AFP(2級FP技能士)/宅地建物取引士/相続管理士

明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。

大学在学中に2級FP技能士資格を取得。
大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。

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